むかしむかし、小さなアリのアントンがいました。アントンは他のアリたちよりもずっと小さかったのですが、心はとても大きく、勇気にあふれていました。
ある暑い夏の日、アリの巣に大きな問題が起こりました。巣の入り口に大きな石が転がってしまい、アリたちは外に出て食料を集めることができなくなってしまったのです。
アリたちは石を動かそうとしましたが、どんなに力を合わせても石はびくともしません。みんなはあきらめかけていました。
その時、小さなアントンが前に出て言いました。「私に方法を考えさせてください。大きな力だけが問題を解決するわけではありません。賢さと勇気も同じくらい大切です。」
アントンは石の周りをじっくり観察しました。そして、石の下に小さなトンネルを掘れば、アリたちが通れる道ができることに気づいたのです。
アントンは仲間たちに計画を説明し、みんなで協力してトンネルを掘り始めました。最初はゆっくりでしたが、次第にトンネルは深くなり、ついに反対側に抜けることができました。
アリたちは大喜びで、アントンを英雄として称えました。この日から、アントンは小さな体に大きな勇気と知恵を持つアリとして、みんなに尊敬されるようになったのです。
この物語が教えてくれるのは、「大きさ」がすべてではなく、勇気と創造力が本当の力だということです。